民宿 奈木屋 NAGIYA NAGISHIMA
奈木島 港の坂をのぼって3分 お申し込み

島のことABOUT NAGISHIMA

これといったものはありませんが、3日のあいだに歩いて見ていただけるものを、いくつか。

見どころ

港の坂の椿
坂の途中の椿。写真は去年の春のものです。

港の坂の椿

坂の途中に、島でいちばん古い椿があります。樹齢はおよそ170年とのことです。
春には赤い花が坂いっぱいに落ちて、それは見事です。
どなたが植えたものかは、分かっていません。

東の干潟のしおまねき

東の浜の先が干潟になっていて、しおまねきがたくさんいます。
片方のはさみだけが大きくて、それを振って潮を招くのだそうです。
夏の夕方、いっせいに振っているところは、すこし可笑しくて、きれいです。

沖の岩

港から東を向くと、沖に岩がひとつ見えます。
潮がいちばん引いた日でも、そこまで歩いて行くことはできません。
近くで見た者は、島にはおりません。

凪の日の海鳴り

風のない日に、沖のほうから低い音が聞こえることがあります。
島の者は「鳴っている」と言います。
くばりは、この音のする日に合わせて行いますので、日取りは年によって2日、3日ずれます。

島のなりたち

この島に人が住みつくようになったのは明治22年からで、それより前の記録はありません。はじめは7世帯だったと聞いております。

それより前は、漁の季節にだけ本土から渡ってくる者があり、浜に小屋を建てて寝起きしていたそうです。

くばりは、そのころにはもう行われていたと聞いております。移り住んできた者が、先にいた者から教わったのだそうです。

はじまりについては、下の島の伝え唄にも少し出てまいります。

いまは38世帯、100人とすこしです。学校は本土へ通います。

島は歩いて一周できるほどの大きさで、坂が多く、平らなところは港のまわりだけです。

暮らしのこと

商店は港の前に一軒。6時には閉まります。郵便局はその隣で、平日の昼までです。

自動販売機はありません。街灯も、港から坂の上までのあいだに4つきりです。夜はほんとうに暗くなります。

島の伝え唄

島に古い数え唄があります。子どもが手まりをつきながら唄ったものだそうですが、いまはもう唄う子もおりません。お泊まりの方にときどき尋ねられますので、聞いたままに書き留めておきます。

一番と二番があって、どちらも五つずつ。一番のほうがずっと古いものだそうです。二番は後の代に、同じ節にあわせて付けたと聞いております。

一番

ひとつ 人魚は 沖の 連れじゃもの

ふたつ ―――――

みつ  身を いただけば 歳とらぬ

よつ  欲を かいたら 取られるぞ

いつつ いつまで 生きても ひとりきり

二番

ひとつ 人は くばりに 出ぬものを

ふたつ 二皿 はしに 置いてゆけ

みつ  港の椿 葉を もらいゆけ

よつ  夜さり 浜へは 降りるなよ

いつつ いつまで 待てば もどるやら

一番のふたつめだけが、伝わっておりません。私が教わったときには、もう抜けておりました。

唄は、くばりの記録にも毎年書き写しております。書き役が代わっても、それだけは続けている決まりでございます。

沖のもの

「鳴る」のは沖のものだと言われております。ずっと昔からこの海にいて、島の者に悪さをしたことは一度もなかったそうです。

連れが何匹かあったと申します。魚のようで、人のようであったと。
そういうものを、人魚と呼ぶのだそうです。

人魚のこと

人魚の肉を口にした者は、それきり歳を取らなくなる——という話は、この島にかぎらず、方々にあるようです。

島でも、ずいぶん古くから語られていたそうです。一番の唄がそれだと聞いております。
年寄りは、めでたい話としては話しませんでした。

一番の「取られるぞ」というのは、沖のものが取り返しに来る、ということだそうです。
取ったぶんだけ、こちらのものを持っていく、と。

引かれる

海で人がいなくなることを、島では「引かれた」と申します。
引かれた者は、遺体が上がりません。

恨みでそうするのではない、返してもらいに来ているのだ、と古い者は言っておりました。
二番の「いつまで待てばもどるやら」は、そのことだそうです。

供えもののこと

沖のものは、火の通ったものを好むそうです。
海のなかには、火がございませんので。

ただし、生き物は使いません。
一度いただいたものを、また取っては、意味がないのだそうです。

ですからくばりに配るのは、餅にしております。
米をついて、蒸して、椿の葉に挟みます。
冷めて硬くなったものは、受け取ってはもらえないのだそうです。

椿のこと

椿は、常緑の葉と紅白の花が邪気を払うと言われ、古くは招福・長寿の木とされていたそうです。

葉に油気がございますので、餅がよく付きます。
供えものに椿の葉を使うのは、そのためだと聞いております。

くばりのはじまり

沖のものの連れが、一匹減った年があったそうです。
その年から、島ではくばりを続けております。返していただくまで、と聞いております。

欠かしてはならないこと

返してもらうためには、毎年、欠かさず、同じものをお供えしなければならないと申します。
一度でも欠かすと、それまでのぶんが、無かったことになるのだそうです。

ですので、くばりだけは、どんな年も休んでおりません。

あくまで言い伝えです。島の年寄りから聞いた話を、そのまま書き留めたものにすぎません。お怖がりになるような場所は、島にはございません。

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